みんなのみらいをつくる保育園では、
・「好奇心」「冒険心」のある自分らしい子ども
・他者を思いやることのできる子ども
・自分で考え、表現し、そして行動できる子どもという保育目標を掲げています。
その保育目標を実現するために、いくつかの特色ある保育を実践しています。今日はそのうち
「ピースフルスクールプログラム」についてご紹介します。
オランダ発祥の「ピースフルスクールプログラム」
皆さんは「ピースフルスクールプログラム」をご存知ですか?このプログラムは、オランダ発祥のプログラムです。1990年頃、国内でいじめや生徒の問題行動が増加したことをうけ開発されました。このプログラムの目標は大きく5つあります。
1. 建設的に議論して意思決定をする 2. コンフリクト(対立)を自分で解決する 3. 社会の一員としての責任感を持つ 4. 他者を思いやり、多様性を尊重する 5. 社会における自分の役割を知る
この5つの目標は、「みんなのみらいをつくる心」を育む上で大切であると考え、4歳児、5歳児クラスを中心に取り入れていくことにしました。
『いやな時は「やめて」って言おう』
プログラムの30あまりに及ぶレッスン内容の中に『いやな時は「やめて」って言おう』という単元があります。
比較的最初に行われるレッスンなのですが、私たちは「自分の意見を言う」ための最初の一歩と考えています。「対立」が起こったときに、きちんと「いやなことはイヤ、と言う」のはとても大切なことです。相手には、相手の気持ちがある、というのを知る大切な機会だからです。思いやりの心はここから育まれていきます。私たちは、「対立」は起こって当然、「その時にどう解決するか」、が大切であると考えているんです。
対立(意見の相違、けんか)はありか、なしか
対立って、悪いことでしょうか?
例えば、子どもと一緒に公園に来ました。そこで、子どもはブランコに乗りたかったのだけど、遊んでるお友達がいます。ちゃんと順番を待って、ようやく乗れそう!その時、あとから来たお友達がブランコに先に乗っちゃっとしたら・・・。こんな光景、よく見かけますよね。
順番を待っていた子が、「泣く」「怒る」「順番を守ってと言う」。あるいは、一緒にいた大人が、「泣いた子をなぐさめる」「ケンカになりそうなら、止めに入る」「代わりに”順番守ろうね”と言う」‥。
大人が間に入り、仲裁することが多いのではないでしょうか?そして、ケンカになれば、その原因を探り、対策を考えます。
でも、順番を待っていた子も、横入りをした子も「ブランコに乗りたい気持ち」は同じ。順番を待つのが正しいですが、横入りをした子の「ブランコに乗りたい気持ち」も、同じくらい大切にしたい「気持ち」です。もしかしたら、順番待ちをしていたのに気づかなかったのかもしれない。乗りたくて、わき目も振らずブランコに向かってしまったのかもしれない。きちんと聞くことで解決することも多いのですが、いつも大人がいるとは限りません。だからこそ、子どもたちが「自分たちで解決する力」を育んでいきたいのです。
「自分と、相手の気持ち」、どちらも尊重されるべき大切な気持ちであることを知り、その上で解決をはかることができたら。対立が、「それぞれに感情や考えがある」から起こるのだとすれば、そう、対立は起こっていいのです。感情カードの記事でもお話しましたが、気持ちや感情は「みんな違っていい」のです。
みんなの気持ちが大切であり、それを知った上で「どうしたら良かったのか」を考えてもらえるように。4歳、5歳に高度なことを求めているように思えますが、実際にこのプログラムを取り入れている幼稚園や小学校(低学年)では、子どもたちが解決方法を提案する光景が見られるといいます。
おもちゃの取り合いが起きたら、4、5歳の子どもたちが口々に提案を始めるそうです。
「順番に使うのはどう?」「じゃんけんして順番決めたら?」「順番くるまで、一緒に違うことして遊ぼうよ」
大人が仲裁するのではなく、自分たちで解決する、こんな光景を当たり前にしていきたいと考えています。
「みんなのみらい」はみんなでつくる
「みんなのみらい」は1人でつくるのではなく、みんなでつくる、そう考えています。
みんなでつくる「みんなのみらい」を実現するためには、「自分と相手は違うこと」、「自分の気持ちを大切にしつつ、みんなの気持ちにも寄り添えること」、そして、「自分の意見を持ち、それを伝えることができること」こういったことが大切ではないでしょうか?
対立は起こっていい。その時にどうするか?自分と相手の気持ちの両方を大切にしながら、解決の道を探ること。これが、みんなでつくる「みんなのみらい」が、素敵なみらいになる秘訣なのではないかと考えています。
子どもたちの可能性は無限大です。大人ができない、と決めつけるのではなくピースフルスクールプログラムで、1つ1つのレッスンを通して、「自分で考える」「自分の意見を言う」「みんなの意見を聞く」これらを繰り返し、「解決する力」を育てていきます。それが、みんなのみらいをつくる心を育てることになるはずです。
次回は「サークルタイム 」についてご紹介します!