フローレンスの保育園(おうち保育園、みんなのみらいをつくる保育園)では「みんなの未来をつくることに自ら参加し、貢献し、そして楽しむを育む」ことを保育理念に掲げています。この理念を実現するための保育がシチズンシップ保育です。
保育園での生活の中で、自分の気持ちや他人の気持ちを知り、大切にすること。子どもたちの「やってみたい」を、1つ1つ子どもたちと考えながら実現していくこと。その積み重ねで、子どもたち一人ひとりの気持ちや意見を大切にし、「やってみたい」を応援する。そんなシチズンシップ保育を通して、子どもたちはどのように成長していくのか。みんなのみらいをつくる保育園東雲の成川園長のコメントをご紹介します。
シチズンシップ保育の中で育った、卒園後の子どもたち
昨年度に続き、子どもたちの生活が様変わりした今年、卒園生の嬉しい報告が有りました。小学校1年生がコロナで家庭学習の日の時間割の中で、1時間「自習」とされていたことがあり、保護者の方は我が子はどうするのだろうと思って見守っていたところ、卒園児は、自分で何をするか考え行動できていたと聞きました。当園のシチズンシップ保育で育った子どもが小学生になると、やがてどうなっていくのかは私自身も気になるところですが、そんな日常の一コマのお話にもみんつく*の卒園生らしい成長を感じます。
以前は、自分の小学校の運動会について園に相談に来てくれた卒園児もいました。「運動会はどうして出なくてはいけないの?」「僕は運動会の1年生の種目はもうできるから、本当は3年生の種目に出たいのだけれど、どうしよう」というものでした。色々な職員に相談してくれた小学生は、自分なりの答えを見つけ運動会には参加したそうです。参加するのが当たり前とされている学校行事も、考え出すと、そもそも開催の目的は何か、自分は何を目的に参加したいのかまで、小学校1年生でも考え始めるのだと感心したものです。
今年の春には、学童保育から帰る時に、「今日は絶対にみんつく*に行く」と宣言し、来てくれた小学生もいました。保護者の方も一緒に、延長保育時間の静かな保育室で、かつて自分が過ごした時間を思い出してくれていたのでしょうか。延長保育の園児と一緒の、ゆったりとした時間が流れました。
*みんつくとは
みんなのみらいをつくる保育園の愛称
尊重され、対話した経験が、自己肯定感と「他者の意見を聴き、自分で考える力」を育む
日本の現状として、小さい子どもが自分で決めてよいとされる事柄は案外少なく、多くの小学校生活の中ではそれは顕著なものだと感じています。その中で自分の力で考え行動するには、そうしてよいのだと確信する期間が必要と思います。それは自分勝手なものではなく、周囲の様子にも気を配りながら、自分が幸せな選択をしていく力が子どもにはあります。しかし、それを保証してくれる環境を経験しないことには得られない力です。
尊重され、選択を許され、対話した経験は自己肯定感を育むでしょう。そしてそれは家庭だけでなく、保育と教育の施設や地域や社会全体がそうなっていかないことには難しいことです。しかし、反面教師にするという方法もあります。子どもであっても社会の一員であって、自分の行動について自分で考えられる力がある子どもはきっと伸びていきます。縦割り保育の当園では大きな子が小さな子に影響を与える場面も多く、時には大きい子が小さい子に良くないと思われる行動を諭し、切磋琢磨しています。
3~5歳児クラス、つくる組の保育室では、数ヶ月前までは蓋付きゴミ箱の周りに少々散らかっていた使い終わったペーパータオルが今はすっかりなくなり、今度は自主的に手洗い後の床の水滴を拭く園児たちの姿が見られます。何度も何度も伝えても伝わらないようでいて、急にぐんと成長する子どもたち。それは、「考える時間」を確保されたことによる、子どもたち自身の「選択」の連続でできてくるもので、大人に与えられ指示された自分の意志と反することでは、そうはいかないのです。時間がかかることも、度々の失敗も、自分が決めたことなら乗り越えられると、教えられなくても知っている、それが「子ども」なのかもしれません。
大人はかつて子どもだったのに、それを忘れているのが大人なのかもしれず。自習時間も、運動会も、放課後の過ごし方も、そろそろ変わっていくのではないかと期待しているところです。これまでのあたりまえに疑問を持ち、自分の意見を言える、他者の意見を聞ける子どもに育っていけますように、これからも園児と対話していきます。小学生だから学ぶという子どもから、自分が学びたいから学ぶ小学生になれますように。
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園長が語る!おうち保育園の「信じて、見守る」“シチズンシップ保育”とは?
ひとりの『いい』はみんなの『いい』じゃないかもしれないから。みんつく東雲のシチズンシップ保育
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