0~2歳の子どもたちが通う、おうち保育園。そこでは「シチズンシップ保育」が実践されています。

“シチズンシップ”は直訳すると「市民性」。「一人ひとりが社会の一員として、よりよい社会の実現のために、積極的に多様な人々と協働して課題解決する資質・能力」を指します。

おうち保育園では、子どもも大人と同じ社会の一員であると考え、保育を通じて子どもたちの「シチズンシップ」を育んで行きたいと考えています。

とはいえ、まだ小さい子どもたちにそんなことが分かるの?一体どんな保育をしているの?とイメージが難しい方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、おうち保育園なかの新橋の横山園長にインタビュー。
実際の保育で、子どもたちとどのように関わっているのか、伺いました。

園長

試行錯誤を信じて見守る、シチズンシップ保育

――おうち保育園で大切にしている「シチズンシップ保育」って、いったいどんな保育なんですか?

子どもたち一人ひとりの可能性を信じて、子どもたちの想いや考えを何より大切にする保育だと考えています。

フローレンスの保育園

子どもたちにとっては、園での毎日の何気ないシーンが大切な発見や学びの場の連続です。
保育スタッフは、目の前の子どもたちの「今」だけでなく、日々の発見や学びを積み重ねた経験の「先」にある未来を考えた関わりを心がけるようにしています。

子ども自身の挑戦の意思や、困ったことがあったとき、自分の力で解決したいという気持ちをしっかりと理解し、必要な環境を整えます。

「いい保育」と聞いて、「ていねいな保育」をイメージされる方も多いかもしれません。「ていねい」というと、手厚く、なんでもやってあげる関わり方が思い浮かびがちです。でも、ささいな行動ひとつをとっても、本当にその子のためになるのかを考えると、なんでも「してあげる」「手伝う」のが正解なのでしょうか。

もちろん、危険なことは察知して、時にはサポートが必要ですが、「危なくなったら絶対に助けるよ」「いつもそばで見ているよ」「だから、失敗しても大丈夫」というまなざしを常にもち、子どもたちが安心して挑戦できる環境を作ることで、意欲の芽を守り、育んでいきたいと思っています。

「答え」は、大人が用意しない

フローレンスの保育園の様子

――実際の保育の中で、どんなふうに子どもに関わっているんですか?

例えば、離乳食をスタートしたばかりのお子さんは、口の中で物を噛んだり、飲み込んだりする動作に慣れていません。食べたい気持ちはあるのに、むせてしまったり、吐き戻してしまって、涙が出る場面もあります。

もちろん、それぞれのお子さんの発達にあった食事の提供が前提ですが、すべての食べ物を飲み込みやすいように細かくして保育者がサポートするのが、本当にその子のためになるとは限りません。
食べる満足感はもちろん大切にしたいですが、生きるために必要な「食べる」という力を育むため、苦戦しながら練習するのを見守ることもあります。

また、もう少し大きな2歳児のクラス(いるか組)では、こんなこともありました。
楽器遊びから発展し、クリスマス会に向けて、サンタさんが来てくれたら見てもらいたいという気持ちをもってハンドベルで「きらきら星」の演奏を練習していた時のことです。

おうち保育園なかの新橋

クラスの子どもたち4人は、それぞれ音階が違うハンドベルを両手にもって曲を奏でるので、ひとりでも欠けると曲が完成しません。

ある日の練習時間、メンバーのうち2人が、他のクラスの活動が気になって、よそ見をしたり集中できず、練習から離れることになりました。担任の先生は、残った子どもたちに、「いるか組4人で演奏するハンドベルなのに、2人だけでやることになったけど、どうしようか?」と問いかけました。

「(ちゃんとやらない子は)いなくてもいいよねー」「2人で(演奏)できるもん」とはしゃぐふたりを、先生は見守ることにしました。

実際に演奏してみると、1人あたり3つのベルを鳴らすのは難しくて、とても2人ではやれそうにありません。そこで先生はさらに「どうする?」と問いかけます。

「代わりの誰かに助けてもらう」と、園内の0歳児の子どもにベルを持たせてみますが、まだリズムに合わせて鳴らすことを理解するには難しい年齢。
音が出るのが面白くて、ずっとチリンチリンとベルを振り続けてしまいます。
思い通りにメロディーにならず、2人の目にも涙が浮かびます。

それでもなお、先生は見守ります。「むずかしいね、どうしようか」と問いかけると、「いるか組、4人で一緒にできた方がいい」「みんなで一緒にやりたい」と、さいごは遊びに夢中な2人を練習に呼び戻すことにしました。

いるか組の友だちが「いなくてもいい」なんて、その場の気持ちと雰囲気に流されて、本当の気持ちではなかったことに、気付いたようです。

この経験を通じて、子どもたちは、1人ではできないことを、友だちと協力し、補い合って成し遂げることの大切さや、4人で取り組むことの楽しさに気付くことができました。そして、気付きまでの道のりを、遠回りながら自分たちでたどることができました。

園の様子

見守っていた先生は内心ソワソワしていたと思いますが、早く練習を終わらせるために大人の都合で子どもたちを練習に呼び戻し、誘導するのではなく、子どもたちが自分たちで答えを見つけるまでの過程をしっかりと寄り添い、自分自身で考えられるよう見守りました。これもシチズンシップを育んだ一例だと思います。

子どもたちは、たった数十分でも心が大きく動き、いろんな感情を見せてくれます。その感情を大切にしながら、いろんなことを考え、試行錯誤してほしいと思っています。

子どもたちに、やがて未来につながる経験を

――シチズンシップ保育を通じて、子どもたちの変化を感じることはありますか?

入園から長い時間をともに過ごしていると、子どもたちの変化を感じる瞬間がたくさんあります。
相手に伝わるように言葉を組み合わせようと、何かを言おうとしてじっと考えている姿を見ることもありますし、そういう時は先生もじっと言葉を待ちます。
おもちゃの取り合いになった時に、感情のままに叫んだり叩いたりするのではなく、自分の気持ちをきちんと相手に伝える姿を目にしたり、子どもたちだけで話し合って解決することも多いです。

子どもたち自身が自分らしく、考えて行動したり、感情を言葉にして話してくれます。

フローレンスの保育園の様子

なにかが起こったときには、すぐに先生に頼るのではなく、自分で考える習慣がついてきているように感じます。小さい体でしっかりと考えていることに保育者もパワーをもらっています。

――変化の大きい時代、これからの時代を生きる子どもたちにとって、保育園はどんな存在だと思いますか?

新型コロナウイルスの影響で私たちの毎日にも大きな変化が訪れていますが、コロナ禍に限らず、社会はどんどん変化していくものです。そんな時代の中にあっても、子どもたちには考える力、行動する意欲を変わらず持っていてほしい。これからもその力を育てていくことができたらと思います。

0~2歳は人格形成においてとても大事な時期と言われています。1日の多くを過ごす保育園でも、ひとりの人として大切なことをたくさん経験してほしいです。

フローレンスの保育園の様子

保育園は、ただの預け先ではなくて、子どもたちの体だけではなく、心も成長できる場であり、それが大人にとってもいい影響を与える場でありたいと思います。おおげさかもしれませんが、一日一日の保育の積み重ねで、社会全体にもいい影響を与えたいと思っています。

――おうち保育園に通う子どもたちに、どんな大人になってほしいと思いますか?

自分らしく生きていってほしいです。
自分らしさも人それぞれで、考え方が違ってもあたりまえです。世界にはいろんな人がいて、たくさん刺激を受けてほしいし、与えられる人になってほしいと思います。


ありがとうございました。

あたりまえですが、小さい子どもたちにも、それぞれ個性と意思があります。それを尊重すること、大人の都合で否定したり、対話をやめたりしないことが、シチズンシップを育んでいくんですね。

おうち保育園には、こんな熱い想いを持って子どもたちの未来を考えかかわる先生たちが、たくさんいます。

おうち保育園では、各園で入園希望の方を募集しています。それぞれの個性を尊重し、対話を重ねる、そんなシチズンシップ保育を経験してみませんか?お待ちしています!

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★おうち保育園
0-2歳児の子どもたちのための小規模な保育園です。園名には、「おうちにいるような安心感を感じられ、子どもたちにとっての第2のおうちになりたい」という願いが込められています。
(東京都 江東区/台東区/品川区/豊島区/中野区/杉並区/渋谷区/宮城県 仙台市)

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★みんなのみらいをつくる保育園
0-5歳児の子どもたちのための認可保育所です。園名には、「”みんなのみらいをつくる人”に育ってほしい」という願いが込められています。
(東京都 江東区/渋谷区)

みんなのみらいをつくる保育園