こんにちは!新卒スタッフの田中です。
今回はシチズンシップ保育とは具体的にどんな保育なのか、解明すべく、みんつく東雲を取材してきました。

フローレンスの保育園では、「子どもたちが自分たちで決める」ということを大事にしています。
毎日、つくる組(3~5歳児)では午前中の遊びの時間をどのように過ごすのかについて、子どもたちが自由に決めます。
園の中で遊ぶのか、外で遊ぶのか。外で遊ぶなら、行き先はどこにするのか。
つくる組では全部子どもたちが決めます。外で遊ぶもよし、中で遊ぶもよし。大事なことは、「小さなことでも自分で決める」という子どもたち自身の主体性です。

園にはオリジナルのボードがあります。行き先の候補となる写真の中から行きたい場所を選び、子どもたちは自分の名前カードを貼り付けます。

行き先を決めるボード

特に外遊びに行く子どもたちは、どこの公園に行きたいのか選ぶことができます。
もちろん、みんな行きたいと思う公園はバラバラです。そのうえで、子どもたちはどの公園に行くのかを話し合って決めます。

ボードを囲んで、行き先について話し合っている様子

子どもたちはどのように話し合い、行き先を決めるのでしょうか。先生たちが子どもたちへの声掛けで気をつけていることとは。みんつく東雲の先生たちにインタビューしてみました。

みんつく東雲のスタッフたちにインタビュー

ーこのボードはどのような狙いから始まったのですか?
フローレンスの保育園では保育目標として、主体性、内発性、創造性を育むことを掲げています。
そういった園の理念から取り入れました。特にだんだんと自分の意志を自分の言葉で伝えられるようになってくる3、4、5歳児は主体的に活動することを目指しています。

ーボードに公園の名前だけを書くのではなく、公園の写真も一緒に貼っているのはどうしてですか?
異年齢保育を行う中での一つの工夫になります。5歳児は公園名を覚えることができますが、3歳児は覚えることができません。写真で示す事によって、子どもたちは具体的にどんなことがその公園でできるのかを想像しやすくなり、こんな事やってみたいという選択の意思が生まれます。

ー子どもたちは自分の名前が書かれたカードを貼っていましたね。
誰が何を選択したのかをわかるように名前の書かれたカードを貼ってもらっています。子どもたちや先生はあとから見て、誰が何を選んだのか知ることができます。また選ぶということは子どもにとってハードルが高い行為です。貼られたカードをみて、選んでいない子がいれば、保育士は声を掛けて、選択を促すことができます。

ー公園等、外遊びの選択肢はどのように選定していますか?
子どもたちの日頃の興味関心や、保護者の皆さんからの提案を大切にしています。それら候補の中から、園からの距離や、どの年齢の子どもでも楽しめるような場所をスタッフが提案します。基本はどの年齢の子どもでも楽しめる場所を選んでいますが、たまには5歳児しか楽しめないような場所もあってもいいと思っています。5歳児が楽しんでいる様子をみた3歳児、4歳児の子どもたちには、大きくなったら、自分もこれをしてみたい!という憧れを抱きます。憧れを抱いた子どもたちは、成長することに積極的になります。

ー子どもたちへの声掛けをする上で意識していることはありますか?
大前提として、やりたいことがあるのならば、まずは話し合いに来なければならないことを伝えています。その上で、できるだけ多数決にならないように、子どもたちの間で話し合って決めるよう促しています。日々の話し合いの中で、子どもたちは様々な種類の決め方を知ります。話し合いの結果、自分の望み通りにならない日もあります。そんなときは、それを経験として次にどんな決め方をすればいいかを皆で考えます。そのため、できるだけ多数決にならないようにとは言いましたが、学びの一環として多数決を経験するのはありだと思っています。

ー子どもたちにどんな風に育って欲しいですか?
子どもたち自らの力で話し合いを提案し、お互いが納得できる妥協案を導ける力を育んで欲しいと思い、関わっています。

ーみんつく東雲ではボードやサークルタイムなど子どもたちが主体となって話し合う時間を大切にしていると感じました。そんな中で子どもたちにどんな変化がみられましたか?
3歳児や4歳児の間で喧嘩が始まったときに、5歳児が仲裁に入って、話し合いを促している姿をみたときに、子どもたちの成長を実感しました。

 

それぞれの場所での出来事を共有したノート

子どもが主体となって活動することができる環境を整えるために、先生方も真剣に考え、工夫されているということが伝わってきました!
さて、みんつく東雲の子どもたちが行っている話し合いは、実は大人にとっても案外難しいことなのではないでしょうか。自分の主張を通しつつ、相手の意見にも耳を傾け、決められた時間内に合意を形成することはそう簡単にできることではないですよね。

取材した子どもたちがこれからどんな大人に成長していくのだろうか。そんな期待も膨らんだみんつく東雲での取材でした。