フローレンスの保育スタッフは、保育現場で経験を積む以外にも研修を行い、みずからの保育の質を常に高めています。
今回は、社内で定期的に行われている「保育塾」という取り組みについてご紹介します!
保育塾とは、フローレンスの全ての保育現場スタッフに向けた、自主参加型の研修です。保育現場スタッフの「知りたい!」「学びたい!」に応えられるように、毎月違うテーマで研修を行っています。
2020年3月に行われた保育塾では、「こどもの気持ちに寄り添うかかわり方」を、愛着関係の重要性とともに考えながら学びました。
講師をつとめたのは、フローレンススタッフの塩田さん。
長年保育現場で活躍し、フローレンス入社後はおうち保育園の園長を経て、保育スーパーバイザーとして各園の保育や園運営のサポートをしています。
3月開催ということもあり、新年度に向けて、子どもの気持ちが不安定な中「はじめまして」の関係を構築していくなかでの子どもの気持ちの受け止め方や寄り添い方、愛着関係の重要性を再認識する場となりました。塾の内容を少しだけご紹介します。
※記事で紹介する保育塾は、新型コロナウイルス感染拡大に対する非常事態宣言前に開催されたものです。
愛着関係はこころの育ちに関係する
乳児期は、身近にいる特定の大人との愛着形成により、情緒的な安定が図られるとともに、身体面の著しい発育・発達が見られる時期です。
そんな乳児期に重要なのは、まわりの人を好きと思える「基本的信頼感」と、自分は愛されていると感じる、また自分のことを無条件に好きと思える「自己肯定感」とされています。
自己肯定感を高く保てている状態とは、自分ひとりでは上手にできないことがあったとしても、「自分ならいつかできるようになる」というふうに、前向きに考えられることです。
乳児期に、特定の人との安心できる関わりを通じて、自分のしたいことを伝えたり、人の話を聞く意欲が生まれます。そして、これらがコミュニケーション能力の土台・基礎となります。つまり、この時期に愛着関係をつくっていくことが、こころの育ちの土台となるのです。
では、愛着関係を育む上で、大人はどのような関わりを意識する必要があるのでしょうか。
愛着関係を育む保育士の関わりとは
愛着関係を育む上で大切なポイントは、不安な気持ちをしっかり受け止め、子どもの不安を安心に変えることです。
例えば、子どもにとって保育園に入園するということは、初めて親から離れ、見知らぬ他人と生活する未知の体験です。
思うようにコミュニケーションを図ることができない乳児は、大人には計り知れない不安やストレスを感じるでしょう。
そして、その不安を言葉で伝えられず、一人では解決できないから泣いてしまうのです。
泣くという手段を使って一生懸命伝えようとしてくれているときには、大人の都合や大人の気持ちを押し付けてしまうのではなく、まずは精一杯受け止めてあげることが大切です。
塩田さんからは、泣きたいときは、気が済むまで泣かせてあげたり、不安な気持ちを受け止めつつスキンシップをとることを意識的に行うよう、アドバイスがありました。
不安を安心に変える方法~抱っこ~
「抱っこ」でスキンシップを取ることはとても大事なことですが、「抱き癖がつく」などと言われ、長時間していいのか不安になったことはありませんか?
もちろん大人の都合で抱っこしないことは大切です。
例えば、「保育者が抱っこしていたほうが子どもの行動を制約しやすいから抱っこすること」は大人都合であると言えます。また、「子どもは自分で歩けるにも関わらず、大人が過剰に安全を意識して抱っこする」という場合もあります。
ただし、本当に大切なことは、甘やかすのではなく、甘えたいときにしっかり受け止められる環境を作ること。子どもがスキンシップとして抱っこを必要としているときは、その子が気が済むまで抱っこをして問題ないのです。
塩田さんが長年の保育経験の中で実践してきたテクニックは、子どもが気持ちの整理がつかず泣いている間は抱っこして安心させ、落ち着いてきたらお友だちが遊んでいるところが見えるように膝の上に座らせるというものでした。
様々な保育現場のスタッフで意見交換
フローレンスでは、おうち保育園やみんなのみらいをつくる保育園以外にも、障害児保育や病児保育など、多様な保育事業を展開しており、そこで働くスタッフもさまざまです。
保育塾では、さまざまな経験を積んだ各事業のスタッフ同士で意見交換をする場面もあります。
ワーク①初対面の子どもと関わるときに意識していることを共有しよう!
このワークでは、保育現場で働くスタッフが初対面の子どもと関わるときに意識していること、また難しかったこと、悩んだことを共有しました。
日々保育する子どもが異なる、ご自宅訪問型の病児保育スタッフは、「関係性が築けていない中で好きなものを知るのが難しいので、まずはどんな小さい要求でもしっかり応えることを意識しています。受け止めてくれる大人であるということを認識してもらうことを大切にしています。」ということを共有してくれました。
また看護師として障害のある子どもと接しているスタッフは、「まずは名前をしっかり呼ぶこと。診察の際、『〇〇ちゃん、今からここ触るよ』と声をかけてから触ることを意識しています。相手が子どもであっても、急に触るのでなくきちんと声をかけて断ってから触ることが大切だと思っています。」ということを共有してくれました。病児保育・障害児保育など、様々な保育現場で勤務するスタッフがお互いに経験を共有することで、学びを深められる時間となりました。
ワーク②子どもの気持ちを想像してみよう!
次に、実際に新年度の保育現場で起こりうるケースでそのときの子どもの気持ちを想像し、どんな関わりをしてみるか、を考えるワークを行いました。
例えば、「新年度入園してきたばかりのAちゃん。お母さんと一緒に登園してきましたが、険しい表情、一方お母さんは急いでいる様子。引き継ぎが終わると、Aちゃんを保育士に預け『Aちゃんごめんね!いってきます!』と行ってしまいました。Aちゃんは大泣き、遊ぶどころではありません。あなたならどうしますか?」というケース。
参加者からは、「保育園という場所に慣れておらず、人だけではなく、保育園という場所にも人見知りしているのではないか」また「『このまま泣いたら戻ってきてくれるかも』と思っているのかもしれない」という意見が出ていました。
実際に訪問型保育では、お母さんが「いってきます」とドアを閉めた瞬間諦めてケロッと遊びだしたケースもあるそう。
大人が思っているより子どもは気持ちの整理をつけることが上手なのかもしれません。
子どもの気持ちを受け止めるポイント
保育者が子どもの気持ちを受け止める上で必要なことのひとつとして、「子どもの表面上の言葉だけにこだわらず、子どもが身体で表現する本当の願いを考える」ということがあります。
そして、新年度の慌ただしい中でも、自身や子どもの感情に振り回されず、ときには適切に心の距離を保ち子どもの言動を前向きに捉えることが大切になります。
講義の最後に教えてくれた、大切にしている言葉は、「子どもは大人がどれくらい『余白』があるか見抜いている。自分を受け止められる余裕があるか知っている。」
塩田さんは余裕を持つために「ときにユーモアを持ち、子どものすることを素直に面白がってみる」ことを意識しているそうです。
今回の保育塾は、保育者が子どもにとって一番の味方・理解者であろうとすることの大切さが改めて実感できる機会になりました。
このように、保育塾では、様々な保育事業を展開するフローレンスならではの強みを生かし、多様な保育現場のスタッフが知識と経験を持ち寄って、お互いの保育の質を高めあっています。
もちろん、おうち保育園やみんなのみらいをつくる保育園のスタッフも、保育塾や様々な研修の機会を通じて常に専門性を高めています。
園見学や保育所体験で、ぜひスタッフの保育に対する熱い想いや雰囲気も感じてみてください!
保育の様子をのぞいてみませんか?園見学申込受付中です
フローレンスの保育園では、入園を検討されている方向けに各園で園見学や保育所体験を実施しています。
「参加してみたい!」という方はぜひ各園にお問い合わせください。
※園によって、保育所体験や園見学の実施有無・内容は異なります。
保育所体験については、こちらの記事も是非ご覧ください!
園での活動を体験!フローレンスの保育園の保育所体験に密着
〜 園見学実施中のフローレンスの保育園 〜
★おうち保育園
0-2歳児の子どもたちのための小規模な保育園です。園名には、「おうちにいるような安心感を感じられ、子どもたちにとっての第2のおうちになりたい」という願いが込められています。
(エリア:東京都 江東区/台東区/品川区/豊島区/中野区/杉並区/渋谷区/宮城県 仙台市)
★みんなのみらいをつくる保育園
0-5歳児の子どもたちのための認可保育所です。園名には、「”みんなのみらいをつくる人”に育ってほしい」という願いが込められています。
(エリア:東京都 江東区/渋谷区)