マイクロバスの中の本棚に、所狭しと並んだたくさんの本。
ここには約500冊の絵本が並んでいます。
みんなのみらいをつくる保育園と、おうち保育園の子どもたちは、一歩中に入ると歓声をあげました。

大好きな電車の絵本、お気に入りのキャラクターの絵本、つい気になってしまうイラストの絵本。
みんな思い思いに手に取り、ベンチに座って読み始めます。
「私、この本にきーめた!」
そんな嬉しそうな表情で「おねがいします」と本をカウンターに出すと、お兄さんがピカピカに磨いてくれます。
BOOK GIFTのシールを貼られた絵本を手渡してもらうと、満足げにバスを降りていき、こんな本にしたよー!と大喜びで先生たちに見せていました。


これは12月のある日の出来事。
長野県にある、古本の買取や販売、本の買取額が寄付になる仕組み「チャリボン」を運営している株式会社バリューブックス(以下バリューブックス)の「BOOK BUS」がみんなのみらいをつくる保育園東雲にやってきときのお話です。
バリューブックスにはチャリボンを通じて毎日たくさんの本が集まっています。しかし、残念ながら、送られた本のなかには買取額がつかない「寄付金につながらない本」がなんと60%もあるのが現状とのこと。
そういった本の多くは、再生紙用リサイクルとして廃棄されてしまいます。
しかし、バリューブックスは、本をできるだけ次の読者につなげていきたいと考え「BOOK GIFT PROJECT」と名付け、本を必要としている場所へ届けることをはじめました。

今回、フローレンスの保育園の子どもたちにも、そのBOOK GIFT PROJECTとして絵本をプレゼントしたい!とご提案をいただきました。
なんと、長野県から移動式本屋「BOOK BUS」に絵本を積んで来てくれるとのこと…!
子どもたちが大好きな絵本ですが、保育園のスペースや予算では頻繁に新しい絵本を買うのは難しい悩みもあり、とても嬉しいご提案!
二つ返事でぜひ!と答えたいところですが、ひとつ問題もありました。
それはマイクロバスを改造して作られた、BOOK BUSのサイズです。
本をプレゼントしに来てくれるだけでなく、BOOK BUSで来てくれるなんて!と喜んでいましたが、都内の住宅地にある保育園の近辺で、マイクロバスを停めさせてもらえる場所があるのかどうか…?

バスを停められなければせっかくのBOOK BUSも来てもらうことができない。
そこに救いの手を差し伸べてくれたのが、みんなのみらいをつくる保育園東雲の隣にある京成バス株式会社東雲車庫(以下京成バス)でした。
近隣の商店や住民との関係を大事にしているフローレンスの保育園。京成バスさんもみんなのみらいをつくる保育園東雲と一緒に、ハロウィンやクリスマスのイベントを行ったり、遠足でバスを利用させていただくなど、ともに子どもたちを育てる地域の仲間です。
今回のバスを停める場所を提供してほしい、というお願いにも快く駐車場の一角を貸してくださいました。


こうして迎えたBOOK GIFT当日。バリューブックスの中村和義さんと成澤健司さんは4時間バスを運転して東雲にたくさんの本を届けてくれました。
たくさんの子どもたちに本を届けたいバリューブックスさんの想い。
こんな素敵な企画を1園だけで独り占めするなんてもったいない、というフローレンスの想い。
双方の想いが通じ、フローレンスの保育園全園に呼びかけたこの企画。

※写真左が成澤さん、写真右が中村さん

当日は、おうち保育園のしののめ園・門前仲町園・とよす園、みんなのみらいをつくる保育園東雲、障害児保育園ヘレン東雲の子どもたち。
そして、おうち保育園のごたんだ園、新おかちまち園と、みんなのみらいをつくる保育園初台の先生たち、障害児訪問保育アニーの保育スタッフたち。
総勢約100名の子どもたちとスタッフたちが集まりました。

入れ代わり立ち代わり、本を選びにバスに入っていく子どもたち。車好きの子どもはバスに乗れるだけでも大喜びです。
待っている子や選び終わった子は、なんとチョークで書けるバスに絵を描いていきます。
普段はやりたくてもできないバスにお絵かきができるなんて、とっても粋なはからい!
子どもたちのテンションも高まります。


車の中では中村さんと成澤さんが、本の汚れを拭き取ったり、シールの跡を剥がしたり、マジックで書かれた名前を消したりと、大切な本を1冊1冊ピカピカに仕上げてくれます。
ある子は、たくさんの本の中から自分で選んだ1冊をかかえて「○○くん、◎◎(絵本のキャラクター)が好きだから見せてあげるの!」と先生にお話していました。
自分だけではなく、来られなかったお友達とも一緒に楽しみたい、と絵本を選んだ気持ちに心が暖まります。

最後の一人がじっくりと選んだ絵本を受け取り、BOOK GIFTが終了しました。
スカスカになった本棚の隙間には、子どもたちの笑顔が並んでいるようです。
今回絵本をプレゼントしてくださった株式会社バリューブックスの皆さま、企画にご協力いただいた京成バス株式会社東雲車庫の皆さま、誠にありがとうございました。
これからもフローレンスの保育園では、地域の皆さん、保育園に関わる様々な方々とともに、「みんなで子どもたちを育む」ことを大切にしていきたいと思います。


■不要になった本やDVDでひとり親家庭を支援! ~チャリボン~
今回BOOK GIFTをしてくれたバリューブックスさんの運営する「チャリボン」では、不要になった本やDVDを送るだけで、フローレンスが行うひとり親支援に寄付することができます。

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