2歳児同士でも話し合える!「シチズンシップ保育」って?おうち保育園でのエピソードをご紹介!
めまぐるしく変化する現代社会。一人ひとりがよりよい社会の実現のために自分たちで考え行動できることがとても大切だと考えています。
「みんなを思いやりながら、自分たちの未来を変えていける力を育みたい」
そんな力を育むために、フローレンスの保育園では、共感性・内発性・創造性を伸ばす、こども主体の保育を実践しており、私たちはその保育を「シチズンシップ保育」と呼んでいます。
「シチズンシップ保育」では、下記の5つの基本を掲げて日々の保育に取り組んでいます。
・感情を知る・感じる
・やってみたいはチャンス
・小さなことでも自分で決める
・わたしはわたし、違うことを認め合う
・対立は当たり前。話し合って解決する
今回は、おうち保育園かしわぎのみまこ先生にインタビュー!シチズンシップ保育の具体的なエピソードをご紹介します!
※こちらの記事は、 2022年9月に掲載した内容をもとに再掲載しています。
シチズンシップ保育に取り組んでみて、
印象に残っているエピソードを聞かせてください。
こどもたちの成長を感じて、嬉しかったエピソードがあります。
お人形にかけるおふとんの取り合いをしていた2歳児クラスのAちゃんとBちゃん。
Aちゃん「Bちゃん、おふとん2つ持ってるなら1つ貸して!」
Bちゃん「だめだよ!」
2人「うわーん!」
そんなやりとりを見て、2歳児クラスのCちゃんが一言。
Cちゃん「あのさ、どうして、だめだったんだろうね?」
…こどもから、「どうして『だめ』なのか、理由を聞いてみよう」という提案が出たのには驚きました。
そこから、Bちゃんからも、貸したくなかった理由が出てきました。
「だめだよ」「貸せないよ」にもちゃんと理由があるんですよね。
Bちゃん「1つは、寒いからかけてあげるの。もう1つは、まくらにしたかったの」
そしてBちゃんも提案します。
自分がもともと使いたかったおふとんとは別のものを持ってきて、
Bちゃん「これなら貸せるよ」
Aちゃん「それでいいよ!」
と、自分たちで解決していました。先生が間に入らなくても、お互いの気持を尊重しながら言葉で解決する姿に驚きましたし、とても嬉しかったエピソードです。
シチズンシップ保育を通して、
こどもたちの「対話の力」が養われているように感じます。
そうですね。ほかにも挙げればキリがないほどエピソードがあります(笑)
大きな箱に入ってバスごっこをしていたときの話です。
DちゃんとEちゃんが2人で箱に入って遊んでいたところに、Fちゃんがやってきました。
Fちゃんは入れてほしそうにしています。でも、箱の隙間はほんのすこししかなく、Fちゃんが入れるスペースはありません。
Fちゃんの様子を見て、Dちゃんは考えました。
Dちゃん「そうだ!みんなでギュっと小さくなったら、入れるんじゃない?!」
その提案を聞いて、Eちゃんも小さくなってみたら…ギリギリFちゃんが入れました!
狭かったけど、Fちゃんは満足した様子で、すぐにバスを出て、違う遊びに心が切り替わっていきました。このエピソードも、こどもたちから提案が出たということがとても嬉しかったです。
シチズンシップ保育を実践する中で、本当に「こども主体」でこどもにかかわることは、待ったり任せたり見守ったり、こちらの粘り強さも必要です。でも、日々こどもたちのそんな成長を見られるので、とても楽しいです。
「小さなことでも自分で決める」を実践していることはありますか?
かしわぎ園では、毎朝、お散歩に行くか園で遊びたいかをこどもたちが自分で選んで、自分の顔写真をボードに貼っています!
お散歩先も、その日こどもたちと話し合って決めることが多いです。
これは自分の気持ちを表すこと、相手の気持ちを知ることのトレーニングとしても取り組んでいます。
「感情を知る・感じる」にもつながっているんですね。
はい。もちろん、ボードに貼らなくてもいいんです。「貼りたくない」というのが、その子の今の気持ちだからです。
もし「貼りたくない」と言われたら、その気持ちをまずは受け止めます。ただ、シチズンシップ保育を知ってから、一言で「受け止める」といっても、奥が深いと思いました。
「そうなんだね」と一度気持ちを受け止めるけれども、「貼りたくない」の奥の気持ちには、どんなものがあるかを聞きます。
もしかしたら、今日はお腹が痛いとか、体調が良くないのかもしれない。
なにか気になることがあって、貼る気持ちになれないのかもしれない。
その部分を丁寧に聞くようにしています。
「貼りたくない」「貼らない」で終わりではなく、「じゃあ、今日はどうしようか?」という対話がそこからまた生まれてきます。
こどもたちがお互いの気持を尊重しながら、対話を通して自分たちで問題を解決をする。そんな日々の保育の様子を、少し感じていただけたでしょうか。
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